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【無料配信】大雑把でもいい、「ゴールを守る」気持ちを大切にしたい 

TKD GKアカデミー4
(C)Ichiro Ozawa


2012年04月05日 通巻第88号より
小澤一郎の「メルマガでしか書けないサッカーの話」



大雑把でもいい、「ゴールを守る」気持ちを大切にしたい
武田幸生氏(TKD GKアカデミー代表)インタビュー




TKD GKアカデミー2
(C)Ichiro Ozawa


 駅直結型の商業ビルに入るフットサル場として3月30日にオープンした
『ボンフィンフットボールパーク落合南長崎』(http://www.bonfim.co.jp/ochiai/ )にて、
4月から新規開校するゴールキーパー専門のサッカースクール『TKD GKアカデミー』。開校に先立ち、2日に無料体験会が行なわれたため、その取材に行ってきた。
 
TKD GKアカデミー ホームページ
 http://www.keeperclub.com/tkdgkacademy.htm

 
 アカデミーの代表を務める武田幸生氏は現在、東京国際大でGKコーチを務める傍ら、99年から携わるジュニア年代の指導も継続している。
 
 彼を含めた主催者側にビジネス的観点があるのは否定しないが、特に専門指導が不足しているジュニア世代におけるGK指導を普及、育成的観点から行なうGKコーチとして個人的にリスペクトしている。実際、武田氏は無料体験会後の保護者への説明ではっきりと「トレセンに選ばれる、J下部のセレクションに受かることが目的のスクールではありません」と宣言している。
 
 以前にも述べたことがあるかもしれないが、今や少なくないジュニア、ジュニアユースの町クラブがトレセンやJ下部への合格者数を売りに募集告知をかけているのが現状だ。受験戦争が激しい日本においては、学習塾や予備校的営業がサッカー界に入り込むのもある意味、普通の流れなのかもしれない。だが一方で、サッカーというスポーツの本質や価値はそうした数字では表せない対極的なところにあると私は考えている。
 
 18時40分から80分間の内容で行なわれた無料体験会ではこんなシーンがあった。4、5人一組で円を作り、相手の名前を呼びながらハンドパスを回すという練習において、初対面同士でコミュニケーションの取れない選手(子供)たちがハンドパスを回すことができなかったのだ。
 
 インタビューでも繰り返し説明してもらっているが、このGKアカデミーにはGKとしての技術を詰め込むような指導は一切ない。先に行けば行くほど、うまくなればなるほど必ず頭打ちになる時が訪れる。その時に自ら解決策、より高みに行くための技術を自ら見つけることができるかどうか。その下地を作るためのアカデミーにしたいというスクールコンセプトは、無料体験会を見ただけでも十分伝わってきた。

 その体験会後、武田氏にインタビューを行なってきた。オープンしたばかりの素晴らしいフットサル場で毎週月曜日(18時40分~)にスクールが行なわれているので、GK指導に興味のある人はふらっと見学に行くことをお薦めする。




TKD GKアカデミー1
(C)Ichiro Ozawa



――無料体験回を終えての率直な感想をお願いします。
 
武田幸生氏(以下、武田氏
) ある意味、想定内でした。ゴールキーパー(以下、GK)の経験がない子もいて、スムーズにいかないところもありました。どの程度のレベルなのかを判断しながらでしたが、技術的なものよりもゴールを守る上での基本的な心構えを教えた方がいいと感じました。

 しかし準備ばかりを進めていても、キャッチングなどの技術は身についていきません。トレーニングの中にそういった要素も含みつつ、大前提として心構えを教えていくという進め方を意識しました。
 
――TKDGKアカデミーを始めるきっかけは?
 
武田氏
 ひとつはGKを教わる環境が少なすぎる点にあります。こうしたスクールは今から7年前に始めました。当時と今とでは求められる要素は違うと思いますが、やはり基本的な技術を教わっていない子が多くいます。そこを教えるのはもちろんですが、GKの技術だけを教えておけばいい、ゴールに立たせてシュートストップばかり練習していくのではありません。
 
 ジュニア年代においても、GKから攻撃の組み立てに関わっていく要素は増えてきました。そう考えると、少人数のゲームでGKがもっとサッカーを覚えていかないといけないと感じています。その中で自分にできることは何かと考えた時に、GKスクールの設立というのが頭に浮かびました。GKだけではなく、サッカーに必要なものを伝えていければ、すぐに選手たちの身に付かなくても、将来的につながっていくと思います。
 
――GKの入り口であるジュニア(小学生)世代は、このポジションを務めていく上で最も重要な部分だと思いますが、現実問題ジュニアで専門指導ができる指導者が少ないのではないですか?
 
武田氏
 それはあります。経験者も含めれば、GKでプレーしたことのある人はたくさんいると思います。しかし、指導できる人間がどれくらいいるかというと、まだまだです。ライセンスなどの制度も整ってきましたが、まだ少ない。逆にGKコーチの中には、GKの指導しか出来ない人も多い。フィールドコーチのGKへの関わりも薄く、それぞれが区別されてしまっていると感じることが多いですね。
 
――このTKD GKアカデミーのコンセプト、貫きたいことは何ですか?
 
武田氏
 「GKらしさ」を植え付けたいですね。キャッチングの技術やそういったものではなくて、「ゴールを守る」という気持ちの中で、具体的にどういったプレーをしなければいけないのか。極端にいえばキャッチの仕方はどうでもよくて、構えも何だっていいんです。どんな状態、方法でもいいから、まずは「ゴールを守ろう」とする姿勢を大事にしたいと思っています。
 
 ただ、そうやって進めていくと、どこかで頭打ちになります。いくら強い気持ちを持っていても高いレベルにぶち当たって限界が来る。そこで「このままじゃいけない」と気付き、構えやキャッチングの必要性が理解できると思います。
 
 それを日頃の練習で、選手自身がつかんでくれればいいと思います。あまり型にはめていくものではないと思いますし、高いレベルになればなるほど、ボールの質やシュートの強さ、うまさが上がっていきます。
 
 普通には処理できないボールを受ける中で、初めてテクニックというものが問われます。足で止める、蹴ると同じように、キャッチングももちろん大事です。ただ、技術は後付けでも間に合います。特にGKについては伸びる要素がたくさんあるポジションですから、あまり技術に特化しない形で指導を進めていきたいと思っています。
 
――今日の無料体験会でも、そういうスタンスは見えました。構えがぎこちない選手に関しても、直すことなくプレーさせていました。子供が本質的に持っているであろう「ゴールを守る」という気持ちをうまく引き出してあげ、頭打ちになった時に技術を教えようという指導コンセプトははっきりわかりました。
 
武田氏
 GK指導という面で見ると、特別なポジションであるがゆえに、GKコーチによって大きく変わってくると思います。キャッチングの技術にしてもそうですし、いかにゴールを守るかという指導もそうです。コーチがどういう経験をしてきたかによって大きく変わってくる。しかし、それぞれが違うことを言っているようだと、おそらくGKスクールの発展はないと思います。
 
 「技術を教えない」というと誤解が出るかもしれませんが、ある程度誰でも教えられるコンセプトで指導していった方が、より発展していくし、よりサッカー界に貢献できるのかなと思っています。お父さんたちに「こういう指導なら自分でもできる」と思ってもらえるようなスクールにしていきたいですね。
 
――今日の無料体験に集まった子供たちは、GKの楽しさに気付いていると想像します。武田さんが考えるGKの楽しさ、魅力というのは?
 
武田氏
 チームの勝利に貢献できるという前提で、「これは決まったな」というシュートを止めた時や、ゴールを守り仲間から賞賛された時ですね。その瞬間というのはGKしか味わえないものです。GKというのは全体的に受け身なポジションですが、リアクションの中でチームをまとめているというのも魅力のひとつです。前線の選手がプレスを怠ったことでGKにしわ寄せが来ることもあるわけですし、GKをやっていればいい大人に成長するのではないでしょうか(苦笑)。

TKD GKアカデミー3
(C)Ichiro Ozawa

 
――名前を呼び合いながらハンドパスをする練習がありましたが、GKは声を出す訓練もしなければいけません。今お話しされたように、GKをやることで人間的成長を求められることは多分にあると思います。
 
武田氏
 GKアカデミーというのは、そういった人間的な部分を伝えやすいのかなと思います。体験会後、保護者の方々に話しましたが、目指すところはこのスクールからプロを何人輩出したか、ではないのです。いい大人、いい人間、いいサッカー選手に成長していくために何が必要なのかを伝えていきたい。その中では当然、技術も教えます。
 
 月謝を払って通ってもらうからには、その見返りも考えなければいけません。サッカーはもちろんですが、それ以外の部分も提供できればいいと思っています。止められないシュートはあるけども、諦めないでもう一歩頑張れるようにする。そういったものをつかんでもらえたらいいですね。

――日本の育成の現状として、GK大国である欧州のドイツやイタリアのように能力の高い子が率先してゴールマウスに立つということにはなっていない気がします。
 
武田氏
 日本においてGKというのはまだ花形ポジションではないと思います。しかし、レベルが高いかどうかというのは別問題にして、自発的にGKをやる子は増えてきたと感じています。
 
 98年ワールドカップでフランス代表が優勝した時、GKのバルデスが大活躍しました。それ以降、フランス国内でGK人口が増えたという話を聞いたことがあります。それでもフランスでGKをやるのがどういう子なのかと聞いたら、「サッカーがうまくない子」「小さい子」「太っている子」というのがまだまだ多かった。そういう意味では、日本も同じだと思います。
 
 ただ、確実に自ら「キーパーをやりたい」と言う子は増えました。それは『イナズマイレブン』の影響も大きいようですが……(苦笑)。あと、川島永嗣(リールセSK/ベルギー)が川崎フロンターレでプレーしていたということで、川崎、横浜付近でGK志望の子が増えたと聞きました。身近に国を代表するようなGKが出てくると、「僕もやってみよう」という気持ちになるのは確かです。しかし、その人口の増加が強化にはつながっていないのが現状です。
 
――日本代表を見ていても、育成の段階からGKに足りないものが、まだまだあると思います。だからこそ武田さんも熱心に活動しているのだと思いますが、指導に落とし込むべきことや取り組むべきことは何だと思いますか?
 
武田氏
 私は大学生を指導しているのですが、小学生を指導することもあります。その時に強く思うのが、このアカデミーのコンセプトの部分です。ゴールを守ることに対して、どれだけのことを伝えているのか。その部分をもっと作っていかなければいけないと思いました。技術に関していえば、弾く、つかむなど、日本でもかなりレベルアップしていると思います。
 
 しかし、特に欧州のGKを見ても、決して綺麗なGKばかりではありません。むしろ、ありえない体勢でキャッチをする、めちゃくちゃな弾き方でパンチングをするGKが多い印象もあります。そういったものはおそらく、教わってきたものではなくて、自分の経験で培ってきたものなのではと思います。
 
 逆に言うと、日本の育成現場ではあまりにも型にはめすぎているのかもしれません。キャッチングはこう、ダイビングはこう、という感じで。もちろん、指導者として知っておかなければいけないことではありますが、いざ現場に立った時にそれを出しすぎてしまっているのではないでしょうか。
 
 ミスが起こった時に何が原因かはわかりますし、トレーニングで修正もできます。しかし、いざゲームになった時にうまくいかない。それは、根本に原因があるからだと思います。私はもっと大雑把な指導でもいいと思っていますし、繰り返しにはなりますが「ゴールを守る」という根源的な気持ちを大切にしたい。
 
 自分の手でプロ選手を輩出する喜びを知りたいという思いもありますが、それは本当にプロフェッショナルなコーチに任せておいて、私は間口を広げる活動をしていきたいですね。
 
――最後に、GKを目指す子供たちに向けてメッセージをお願いします。
 
武田氏
 きっと何かの理由、きっかけでGKをやってみたくなると思います。GKというポジションを純粋に楽しんでもらいたいし、そういう環境を増やしていきたい。なので、子供たちにはもっとGKに興味を持ってもらいたい。
 
 GKは「汚い」「痛い」「怖い」というネガティブなポジションに思われがちですが、実際にはそうではありません。セーブをした時のチームメイトの賞賛、つかみ取った勝利の実感を得られる素晴らしいポジションなのです。だからこそ、アカデミーに来てもらって、GKを楽しめる要素をどんどん見つけてもらいたいと思います。
 
<了>

4月より開校したTKD GKアカデミーのHPはこちら↓
http://www.keeperclub.com/tkdgkacademy.htm



2012年04月11日配信のメルマガより。当メルマガは、『AS』専属カメラマンであるアルベルト・イランソ氏のフォトギャラリーも用意し、濃密なコンテンツを取り揃えています。※

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