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【 @ichiroozawa】「訓練された」より「洗練された」チームに勝ってほしい 

――今号が配信される頃には国立の切符を手にしたベスト4が決まっていますが、ベスト8の顔ぶれを踏まえ今大会のここまでの率直な印象は?

小澤一郎 ここ何年も「群雄割拠」、「戦力均衡」なるキーワードが使われてきた選手権、高校サッカーですから、基本的にはその流れの中で突出した存在(高校)のない大会になっている印象です。今大会も本命なき大会ですし、現場で高校サッカー通のライター仲間に「どこがきそう?」と聞いても一様に「読めない」と言ってましたから(苦笑)。

 ベスト8入りしたチームの中で「サプライズ」と呼べるのは市立西宮(兵庫)くらいですが、かといってその他の7校の8強入りを事前予測できていた人も少ない、というのが選手権のトレンドと今の高校サッカーの流れを端的に示していると思います。

――どこが勝ってもおかしくないと?

小澤 そういうことです。この現象をどう捉えるかですが、私は「タレント不足」とネガティブに受け取るのではなく、ポジティブに捉えています。その理由として、「スキーム次第でどこでも勝てる」というものもありますが、それ以上に“超高校級”の選手を集めて“超ハードワーク”を課して勝ってきた昔からの強豪校にいい素材が集まり難くなっている点が大きいかなと見ています。

 Jユースに最高の素材が集まっているのは事実であり、当然なことですが、その次のクラス、ランクの選手たちが、単に高校のネームバリューや過去の実績ではなく、行きたい高校のサッカーや練習法、そして指導者を見てそれが自分のプレースタイルと合うのかどうかしっかりと見極めた上で行き先を決めるようになってきていると感じます。

 現場で取材していても、「自分のスタイルに合うからこの高校を選んだ」という選手が多くなってきている印象です。もちろん、自分の殻を破るために敢えて自分のスタイルと異なる高校を選択する選手もいますが、少なからず過去の栄光、実績で強豪校が何もせずに選手を集められるような時代ではなくなり、それが高校サッカーの戦力均衡を招いていると思います。

――「タレント不足」というキーワードで言うなら、今年はプロ入りする3年生が少ない印象です。

小澤 「プラチナ世代」の昨年が多すぎただけで、これが普通なんだと思います。今大会に出場した主なJリーグ内定選手は、白崎凌兵(山梨学院大付→清水)、鈴木武蔵(桐生一→新潟)、藤村慶太(盛岡商→仙台)くらいですよね。やはり「即戦力」としてプロ入りするような超高校級の逸材は高校サッカーに少なくなっています。

 とはいえ、先ほど述べた通りこの現象はプラスに捉えるべきではないかと思います。一昔前まではプロ入りできるような逸材を揃えた強豪校が超ハードかつ理不尽なトレーニングで追い込み、鍛え上げた戦闘集団で他を圧倒して勝っていましたが、もはやその論法は使えなくなった。

 今大会も確かに「鍛えられた」チームが多く勝ち上がっている印象ですが、國學院久我山の存在や市立西宮の快進撃を見てもわかる通り、「超」のつかない選手と練習でサッカーや練習の効率性、質を追求した結果、ごく普通の戦力、チームでも全国で勝てるチームが出るようになってきました。要するに過酷な練習を課してフィジカル的に鍛えあげなくても、個々の技術や戦術、チームとしてサッカーのクオリティを上げる努力をすれば勝てる時代に入ったという認識です。

――小澤さんが初戦から取材されてきた久我山はまさにそうしたチームでした。

小澤 ベスト16止まりの成績をどう評価するかですが、私は「この戦力でよくやったな」という評価です。久我山の試合をしっかり見た人なら、「やっぱり久我山みたいなサッカーじゃ選手権で勝てない」という意見や考えを持たないでしょう。ちゃんとサッカーをすれば、身体能力に劣る選手でも、過酷なフィジカルトレーニングをしなくとも、勝つ確率を高めることができるということがよくわかったのではないでしょうか。

 私は高校サッカーのコーチをやっていたのでよく指導者の肌感覚をわかるのですが、基本的に部活においては自由にグラウンドが使えますから、練習はやりたいだけやれます。また、練習は基本的に「指導者対選手」という関係のみでスペインのように保護者や一般人が練習見学することもない閉鎖的環境下で行なわれますから、指導者のやりたいようなメソッドとコーチングで練習ができます。

 結果的に、これだけ世界の情報やトレーニングが流通していながら、現場レベルでは「非合理的」とまでは言いませんが「効率性の低い」練習が行なわれてしまいます。だって、誰もその指導者の練習が効率的であるのかないのか検証できないのですから。

 効率性の低い練習の一例を挙げますが、例えば私もコーチ時代、監督から「こんな狭いグラウンドでどんな練習をすればいいんだ」とボヤかれていました。余程の強豪校でない限りサッカー部専用のグラウンドはないし、他の部活とグランドを分け合う形で練習を行ないます。

 そういう場合は、チーム分けをするなりして人数を絞り、ターンオーバー制を導入して「選手は週3日のみ練習」とかにすれば狭いグラウンド、スペースでも効率性の高い練習ができると思うのですが、「部活は毎日全員でやるもの」という固定観念があったり、指導者・先生は「下手に部活なしで下校されると何か悪さをするかもしれない」と邪推するのでなかなか実行に移せない。

 広島観音があのスタイルで結果を出したというのに、それに追随する動きが少ないのが高校サッカー界の実態であり現状で、まだまだ改善の余地はあると思います。だからこそ、久我山のようなチームがもっと出てきて、もっと結果を出してもらいたいと考えています。

――小澤さんが今回の久我山を熱心に追いかけていたのはそういう意味合いもあると?

小澤 そうですよ。選手権を取材しているジャーナリストとしてこういうことを言うのは何ですが、今のレベルの選手権でサッカーがどうだとか、あの選手がどうだとか語ることはナンセンスとまでは言いませんが、「井の中の蛙、大海を知らず」ではないかと思います。

 例えば今回ベスト8入りした大分の「フリーマンサッカー」は興味あるし、詳しく監督から話を聞きたいとは思いますが、それが日本で、世界で最先端の戦術になるかというとなりません。ある意味、部活の高校サッカーだからこそ実現できる戦い方であり、サッカーであるのかもしれない。

 もちろんサッカー的なアプローチは大切ですが、勝った負けたで一喜一憂するのではなく、あくまで育成年代のいちカテゴリーである高校サッカーにおいてどういうスキーム(サッカー、練習メソッド、指導哲学)が「いい選手」を育て、最終的に「いい人間教育」になるのかを模索することが大切だと考えています。

 少なくとも私はマクロな視点で、どうすれば日本全国の高校生が楽しく充実したサッカーライフを送り、その後も生涯スポーツとして「サッカーに関わり続けてくれるのか」というテーマを考えていきたいと思っています。現状、選手権という舞台は私にとってそのためのツールでしかありません。

2012年01月05日配信のメルマガより抜粋。メルマガ本文では、この5倍近いボリュームに加え、『AS』専属カメラマンであるアルベルト・イランソ氏のフォトギャラリーも用意し、濃密なコンテンツを取り揃えています。※

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