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【全文掲載】「サッカーの“現在地を語る”」講座参加リポート 

上智大公開講座写真1
(株)アレナトーレ

         上智大学公開講座 参加リポート

                                      取材・文/中村僚



 5月22日、上智大学公開講座「サッカーの“現在地を語る”」が行なわれた。第3回講師として招かれた小澤一郎氏が語ったのは3つの切り口。

・日本人選手の海外移籍
・選手エージェント
・育成

 日本人選手の海外移籍については、近年の欧州での躍進もあり、大きな成功のように思われている。だがその影で、日本のJクラブは大きく損をしている。日本代表の主力の多くは欧州でプレーする選手だが、ほとんどの場合は移籍金なし、あるいは格安の値段で引き抜かれている。

 また、新卒選手との契約でも欧州と日本ではその制度に大きな違いがある。日本で新たにプロ契約する時には年俸に上限がある。一方、欧州ではそれがなく、Jクラブには不可能な金額で新人を誘い出すことが可能だ。

 実際に伊藤翔(現清水/中京大中京→グルノーブル)や宮市亮(中京大中京→アーセナル)、指宿洋史(現セビージャ・アトレチコ/柏レイソルU-18→ジローナ)など、国内でのプロ生活を経ずに海外へ渡っている選手が、ここ数年多発している。最近ではヴィッセル神戸U-18のDF岩波拓也が、オランダのPSVからオファーをもらったという報道もあった。他にも育成費などの面から見ても、海外移籍の方が魅力は大きいのだ。

 これはJリーグにとっては大きな損失になる。優秀な選手を引き抜かれては、リーグの強化にはつながらない。しかし、この現象を誘発しているのは自分たちで作ったローカルルールであり、自分で自分の首を絞めていることになる。「金銭面でのこういったルールを一刻も早く取り払うべきだ」と小澤氏は主張する。

 続いてのテーマは選手エージェント。代理人のことだ。ここではスペインとの違いについて語った。日本ではあまり馴染みのないものだが、スペインでは選手個人がエージェントを雇うのは常識のようだ。プロを志すならば17歳、18歳の選手でも代理人がついているのは当たり前だという。

 また、スペインでのエージェントは選手に雇われるだけでなく、時にクラブからの依頼も受ける。その際にはスポンサーを獲得する、日本でいう「営業マン」の仕事もこなす。業界全体でも30人ほどしか代理人が存在しない日本とは、まさに雲泥の差である。

 最後に育成。恐らくは、小澤氏がもっとも訴えかけたかったのがこのテーマだろう。それは他のテーマの時よりも格段に多い、19枚というスライドの力の入れ様からも伺えた。

上智大公開講座写真2
(株)アレナトーレ

 日本に決定的に足りないのは、「エリートではない普通レベルの選手」の育成だ。例えば、高校サッカーでは新人戦、インターハイ、選手権と既存のトーナメント大会がある中で、通年のリーグ戦も導入されている。しかしながら、100名の部員を抱えるサッカー部などでは、3年間で一度も公式戦に出られない選手が未だにいる。小澤氏は、この矛盾に異議を唱えていた。

 日本の育成の方針は「うまい選手をよりうまくするにはどうするか」という、いわゆるエリート教育だ。リーグ戦化が進み、複数チームの登録が認められるようになったとはいえ、高校サッカー選手権のようなトーナメント方式の大会に出場できるのは、基本的に1校につき1チームしかない。これでは、実力的に100番目の選手が登録メンバー20人に名を連ねるのは難しい。

 選手権でスタンドから応援している部員たちには、冬の時期に大会は用意されていない。そういった控え選手たちはある区切りで「引退」し、やがてサッカーをプレーしなくなる。大学生、社会人以降になっても選手としてサッカーを続けるのは、それまでにエリートとして選ばれた人間だけという傾向は強い。

 スペインでは1チームの登録人数に制限があるため、20人前後のメンバーに収まる。大会方式も年間を通したリーグ戦が主流で、一発勝負のトーナメントとは違い一定の試合数が確保されているため、必ず各選手に公式戦を戦う場が用意される。また、カテゴリー分けも2年ごとに別れており、10歳の子供が12歳のチームに入るといった飛び級も日常的。自分のレベルに合った舞台で思う存分に真剣勝負をすることができる。

 こうして小さい頃からサッカーを生活の一部として存分に満喫し、大人になっても生涯スポーツとして楽しみ続けていく。構造的な問題から現場での指導まで、スペインとのサッカー文化の差を痛感させられる内容だった。

 今回のどのテーマも、普通にサッカーの試合を見ているだけでは得られない情報だった。聞き慣れない言葉も多く飛び出し、一様に受講者は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。ただし、個人的には非常に興味深い内容だったと思う。特に、育成の部分に関しては、私も高校時代にベンチ、あるいはベンチ外という状況が多く、「そこに手を差し伸べるべき」という提言にはいささか救われた気がした。

 惜しむらくは時間が短すぎたこと。1時間半という制限時間の中で語りきれる内容ではなかった。それは講義終了後の質疑応答の少なさからも見て取れた。おそらく受講者の方々も、あまりに未知の領域の話に「何がわからないのかもわからない」ような状態ではなかったか。

 最後に、今回の講義を聞いて強く思ったことが、今後の日本サッカーの可能性の大きさである。Jリーグが発足し、プロ化を果たしてから今年でちょうど20年になる。その間、日本サッカーは躍進し続けてきた。1998年のワールドカップ・フランス大会に初出場、次の日韓大会と2010年南アフリカ大会のベスト16も記憶に新しい。クラブレベルでもアジアを制覇した2チーム(G大阪、浦和)が現れた。

 今回の話からも、日本サッカーがまだまだ多くの問題を抱えている事がわかる。しかし、その状況でもこれだけの躍進を果たしてきた日本が、きちんと整えられた環境でサッカーや選手育成を行なった時、果たしてどれほどの強国になるのだろうか。

 20年前の日本であれば、「ドイツでベストイレブンに入る選手が現れ、インテルでプレーする選手がいる」と言われても、信じることはできなかっただろう。だからこそ、「もしかしたら20年後、日本がワールドカップを掲げているかもしれない」というのは安易な発想ではないかもしれない。

上智大公開講座写真3
(株)アレナトーレ

<了>



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