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ある選手の復帰 

基本的には“好きな選手は?”と聞かれて特定な選手はいません。バレンシア内でも特定ではなく、在籍する選手はみんな好きです。でも、特別な選手がいます…


その選手は、今季これまでどのチームにも所属していませんでした。

そして、つい数日前、新たなチームでスペインサッカーに復帰したのです。

その人の名は、、、

アレクサンダー・モストボイ

という選手。聞いたことある、知っている人も当然多いでしょう。そう、昨シーズンまでセルタでプレーし、“皇帝”と呼ばれたファンタジスタ。勿論、母国ロシアでも英雄です。

2002年W杯では、日本はロシアと同組でした。しかしながら、モストボイは怪我の為、出場出来ず。日本は稲本のゴールで勝利しましたが、彼がいたら…という意見も多く聞かれました。

その彼は、昨シーズン終了後、セルタとの契約が終わり、自由契約選手となりました。セルタが2部に降格したことにより、チームから契約延長の提示はなく、昨年行われたEUROではロシア代表として選ばれましたが、途中、監督批判をし、代表から外されて途中帰国。

36歳という年齢もあり、契約するチームが現れず、今シーズンは恐らく地元ロシアで友人達とボールを蹴り自主トレーニングを積んでいたとのこと。

その彼が、つい先日、スペイン2部に所属するアラベスというチームと今季終了までの契約を結びました。半年以上のブランクがあることで不安もありますが、何より所属するチームを持てたこと、プレーするチャンスがありそうなことでの期待感があります。


そんな彼を好きになったのは、3年前のある出来事でした。

大学生時代、今と同じように1つのチームでじっくりとサッカーを見たいという願望があり、その時期、良いサッカーを披露していた、セルタ、ラコルーニャのガリシア地方に1人旅をしました。バルセロナから夜行バスで約16時間程度だったでしょうか、果てしない旅でした。

そのセルタは、ビーゴという魚介類の豊富に取れる、牡蠣も食べられるという海沿い、リアス式海岸のきれいな街にあります。

ただ、勿論、メインの理由としては、セルタのサッカーを観ること。ただ、試合を観るだけではなく、じっくり1週間を使って試合までのトレーニングも一緒に観るつもりでその地に降り立ちました。

セルタの練習場に行った、という人はパテルナ程はいないでしょうが、パテルナ同様に街の郊外にあります。市内から1時間に1本程度しかないバスで山の上にある練習場で、まだまだスペイン語が喋れない、自分の意思を相手に伝えることが出来ない状態でしたから、よくぞそんな場所までたどり着けたな…と今から思えば不思議に思います。

やはり、人間、本当に必要が迫れば、言葉が出来る・出来ないに関係の無い、コミュニケーション能力を発揮するもんだな、と思います。

そんな練習場に行ったのが、確か、ホームゲームが日曜にある週の火曜日だったと思います。熱狂的なセルタファンではなかったものの、その時期、監督を務めていたビクトール・フェルナンデス監督の攻撃的サッカーには好感を持っていましたし、モストボイ、カルピン加入後、ヨーロッパでも結果を出すようになっていたセルタの力は国内でも十分認識されていました。

初めてセルタを訪れた時は、今でも忘れない、2001年11月でした。セルタの選手はあまりわからなかった、知らなかったというのが正直な所でしたが、必死で勉強したスペイン語は選手や監督からサッカーの話しを聞き出す為に使うんだ、と意気込んで自然体で話してくれる選手達に話しかけにいったものでした。

今は降格の為、大半の選手が出て行ってしまい、その時いた選手はほとんど残っていませんが、

現ベティスのエドゥー

現バルサのシルビーニョ

などは、気さくに話しを聞いてくれ、話してくれました。特に、シルビーニョには、

「絶対、ロベカル(Rマドリッ)よりいいと思うんだけどな~。来年のW杯、日本で待ってるから」

なんて言ったら、

「W杯、出たいんだよね~。ありがとう」

と返ってきました。これが選手との初めての会話だったのを今でも覚えています。

色んな選手がいた中で、その日、怪我の為、一番遅くに出てきた、MFモストボイという選手が出てきた時、特に話しかけるようなことも出来ず、サインをもらい、車に乗ってから、

「アディオス!(さようなら)」

と声をかけました。すると、、、

「お前、どこから来たんだ?」

と聞かれ、

「日本から」と即答。すると、、、


「そうか、よくここまで来たな。どうやって来たんだ?」

と矢継ぎ早に質問され、

「バスで」と即答。


「じゃあ、俺の車乗ってけよ!どうせ市内まで行くから」

????という記号が頭を過ぎりました。

えっ?今何て言われたんだろう??「クルマにノッテイケ?!」ってどういう意味だっけな??などと意味不明な思考回路に陥っていた時、

「乗れ乗れ」と言いながら助手席のドアを開けてくれました。

そう、最終的にはモストボイが私のような異国から来た珍しい物好きな人間をなぜだかわかりませんが、車に乗せてくれ、市内まで送ってくれたのです。

車内でどんな会話をしていたか、その時のことは覚えていません。あまりに興奮していたので…

でも、市内の中心地に行く前に、彼が、

「ちょっと、丈を直したパンツを取りにいくから待っててくれ」

といって、あるセレクトショップに入っていき、1人車内に待たされたのは覚えています。よく見たら、ハンドルに“BMW"の文字が、、、

「BMWなんて外車に乗るのも初めてだな~」なんて独り言をつぶやきながら待っていました。

それ以来、毎日のように彼の車に乗せてもらうというか、「乗れ、乗れ」と言ってくれるようになり、数日後には、

「俺はこのマンションに住んでて、明日の練習の為にここの出口から○時に出てくるから、ここで待っときな」

と言って、練習の行きまでも拾ってくれる有様。

本当になぜだか不明でした。わかりませんでした。ただただ、温かい人、選手だな、という印象でした。

少なからず、このモストボイという選手が世間に与えている印象は、「うまい選手だけど、感情のコントロールが出来ない。カードホルダー」というもの。確かに、相手は勿論、審判に暴言を吐いてイエロー、レッドをもらうことも多々でした。

しかしながら、そんなグランドのイメージとは180度違い、至って温厚でサッカーについて、日本について、色んな話しをしてくれました。

「以前、スパルタク・モスクに在籍していた時、日本に行った事があるんだ。秋葉原はすごい街だったな~」

なんて感想を言うかと思うと、

「日本女性ってどんな感じだ??」

と彼らしさ(?)も出しながら話しをしていました。

もしかしたら、日本という文化に興味があったのかもしれませんが、そうだとしてもなぜにそこまで良くしてくれるのか全く理解不能で感謝しても感謝しきれないことが多々ありました。

試合前日は、セルタのホームスタジアムにて非公開練習。

「明日は、非公開だからスタジアムには行くけど、外で待っとくよ」と私が言うと、

「何言ってんだ、ちゃんと入れてやる」

といいながら、本当に、非公開のスタジアム練習に入れてくれ、マスコミもファンも誰もいない中、私1人でその練習をスタンド見学している始末…

何度も言うように結局、彼がそこまでよくしてくれた理由はわかりませんでしたし、彼にとってはいつものことだったのかもしれません。

ただ、私のような人間、私という人間にとって、大きな出来事、印象的な出来事、忘れることの出来ない思い出となったことは事実です。

選手やチーム、そしてチームがある街との出会いも私のような1ファンにとっては一期一会。その時期、その街、そのチームだったからこそ、素敵な思い出となったのかもしれません。

それ以来、彼のことを追いかけるようになりました。セルタがCLに入り、降格し、契約満了になっても。今でも彼だけではなく、その時在籍していた選手は勿論、セルタというチームも気にしています。

今のサッカー界、特に欧州ではサッカーが単なるスポーツでもなく、我々の身近なものでもなく、何か大きなものへ変化しています。グランドでの人種差別、暴力、意図的な遅延行為、色んな問題を抱えています。

そんな大規模化する傾向、ビジネス化するサッカーにもこういった素朴で温かな側面があることも忘れたくないと思います。

スペインサッカーの良さは、サッカーの質は勿論、スタンドにあると思います。イタリアのように危険さは感じることが少ないし、プレミアのようにチケットが高額なこともない。

老若男女全ての人がスタジアムに足を運び、自分の贔屓のチームを応援する。鳴り物や歌、歓声、罵声、全ては試合展開、選手が披露するプレーに応じてのもの。

勝手ながら、そんな原点を私が応援し続ける彼の復帰によって久々に思い出した気がしました。

彼が活躍するしないに関わらず、静かに応援しようと思います。2部なので、バレンシアと対戦することもないですから…

そして、機会があれば、是非アラベスのあるビトリアという街に出会いに、彼に再会しに行きたいと思っています。

今後も彼の復活、活躍に願いを込めて…



思い出の写真

グラシアス、モストボイ!

Comments

感動しました。

素敵なお話ですね。
読んでいるこちらも、一人の日本人として感動してしまいました。
私は、ただサッカーが好きでこのブログにたどり着きましたが、大好きなサイトです。
これからも楽しみにしています。

いいお話ですね!

はじめまして。僕はバレンシアファンなので
よくこちらのサイトを拝見させていただいている
のですが。僕も東京で乗っている車がシトロエン
なので、そんな簡単な理由からセルタ好きに
なりまして。モストボイの復帰はとても嬉しく
思います。それにしても、このモストボイ話は
感動巨編ですね。とにかくお礼が言いたくて。
ありがとうございました。これからも楽しみに
拝見させていただきます。

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普通の皇帝

素朴な側面

  • [2005/03/22 10:54]
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