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第37節 バレンシア×ATマドリッド マッチレポート 

■リーガエスパニョーラ 第37節 バレンシア×ATマドリッド

試合結果:1-1

得点者:
1-0 前半11分 バレンシア ビジャ(PK)
1-1 前半19分 ATマドリッド マキシ・ロペス

バレンシアの先発メンバーは以下の通り↓
ATマドリッド戦先発フォーメーション


■複雑な試合

「今日の試合は、色々な要素が詰まりすぎていた試合だったように思うのですが… 2位になる為の勝利、ビジャのピチッチ、カニサレスのサモーラ、そしてカルボーニのホームラストゲーム」

試合後のバレンシアCFキケ・フローレス監督に対する最初の質問が、TVEの記者からのこの質問だった。

この質問が全てを語ってくれているように思えた。そう、バレンシアにとってはこの試合は単なる1試合ではなく色々な要素が絡み合った複雑な試合だった。

ただ、勝たなければいけない試合であり、勝たなければいけない相手でもあった。

なぜ勝たなければいけなかった?
→2位確保(CLストレートイン)の為

なぜ勝たなければいけない相手だった?
→目標が無く低調なパフォーマンスが続くATマドリッドの為

にも関わらず、この試合のバレンシアはむしろATマドリッドに攻め込まれる場面が多く、不安定な試合をしてしまった。


■ファンとチームの認識のずれ

この試合のバレンシアは、明らかに集中力不足。個人で色々な要素がありすぎてチーム一丸で“勝利”に向っていく姿勢は残念ながら感じることは出来なかった。それはマジョルカ戦から続く課題でもある。

ただ、選手・監督共にこの試合は、「引き分けでもOK」という共通認識は持っていたようである。結果的に引き分けで終わり、リーグ4位圏内は確保し、来季CL出場は決定した。

試合後、監督、選手のコメントは一様に「シーズン前の目標を達成した」という安堵の言葉が聞かれた。

ただ、ファンは納得するはずもなかった。この低調な試合内容では。

試合終盤からはキケ監督に対するブーイングが飛び交い、試合後すぐはかなりのブーイングが飛んだ。また、試合終了間際、カニサレスがゴールキックを意図的にゆっくり蹴るような行動を起したが、彼のプレーがチームのスタンスを象徴していた。あくまで、「引き分けで4位以内を確保すればよし」。


■コンパクトさの重要性

さて、戦術的な観点からこの試合の課題を挙げてみたい。私が感じたのは、“集中力の欠如からくる体力の欠如”。

この日のバレンシアの選手はアルベルダを除いて極端に運動量が少なかった。アルベルダ自身が試合後、「シーズン終盤になれば体力的にきつくなるから…」と言い訳をしていたが、彼自身は少なからず動いて良い働きをしていたがそれ以外の選手が酷すぎた。

やはり、

「サッカーは走らなければ、サッカーにならない」

クライフが論じるように確かに人よりボールを動かせばいいのもサッカーのいち理論ではあるが、よほどの技術と戦術的な差が無い限り、最低限の運動量はどの世界のサッカーにも求められるベースである。

そのベースがマジョルカ戦からのバレンシアには不足している。

体力的なベースがない分、チームがコンパクトにまとまらないバラバラのサッカーになってしまう。要するに個人の能力に頼るサッカーである。

前節、マジョルカ戦でのマッチレポートでバイタルエリアを使われてしまうバレンシアDFの課題を挙げたが、この試合でもそれが顕著に出ていた。

この図をみてもらいたい。
第37節 バレンシア×ATマドリッドの課題「コンパクトさの欠如」


コンパクトなサッカーをする上で大切なのはDFラインの上げ・下げは勿論のこと、チーム全体としてのボールに対する反応。

現代サッカーにおいては、マンツーマンで相手を基準にポジションを決める概念よりも、ボールを基準にポジションを決めるゾーンの概念が主流である。勿論、ゴール前の攻防になれば、対相手とのマンツーマンの考え方が優先されるべきだが、チーム全体のサッカーとして捉えるのはゾーンの概念。

よって、チームとして大切なのはボールの動きに対して11人がポジションを微調整していくことである。ボールが1つ動けば、チーム全体がそのボールを基準にしてポジションを微調整し、動く。

だからこそ、チームとしてコンパクトなサッカーが可能となる。

先ほどの図で具体的に解説するならば、このATマドリッド戦においてもマジョルカ戦同様にチーム全体としてこういった微調整の動きがなかった。

例えば、ATマドリッドの中盤の選手がバックパスをすれば、そのボールの動きに対して、チーム全体が動く必要があるが、多くの場面でアルベルダだけが1人動いているだけで他の選手は動かない。

特に顕著なのはDFライン。上の図のようにバックパスでボールが遠のけば、当然FWも引いてボールをもらおうとする。Fトーレスが引いてボールを受けようと下がる。当然、DFラインを上げてコンパクトさを保つべきなのだが、それが出来ていない。

だからこそ、そのバイタルエリアでフリーにしてしまい、ピンチを招くことにつながるのである。

前半からカウンターでピンチを招く場面が多かったが、それはことごとくこういった動きの微調整が出来ていないことからくるピンチであった。


■コンパクトに保つポイント

では、そのコンパクトさを保つためにすべきことはなにか。単純なことだが整理してみたい。

まずは簡単に、“サボらないこと”である。この2試合のバレンシアは「体力的に厳しい」という問題以上に単純にサボっている。ボールに対する集中力に欠けている。

ボールの動きに反応して動くこと、がまず1つ目のポイント。
第37節 バレンシア×ATマドリッド コンパクトに保つポイント①


続いては、攻撃の際、フォローが少ない。マジョルカ戦同様にFWが孤立する場面が多い。当然、中盤の組み立てにも問題があり、特にこの試合もバラハの低調なパフォーマンスにはがっかりした。信じられないミスパスや無謀なドリブルで不用意にボールを失うシーンは本来の彼のパフォーマンスから程遠いものであった。

DFラインから前線にボールを放り込む場合、ターゲットになる選手をサポート、フォローする動きがあまりに少ない。よって、そこで競り合いに負けて、ボールを確保出来なければ攻撃は終了してしまう。

下の図のように、もしそのポイントに他の選手がフォローするために入っていけば、セカンドボールを拾うことができ、攻撃の継続が可能になる。泥臭いことかもしれないが、これはサッカーにおいてとても重要な要素である。

サッカーにおいてはセカンドボールを制するチームが試合を制するとまで断言できよう。

よって、セカンドボールを拾うためのフォローの動きが、2つ目のポイント
第37節 バレンシア×ATマドリッド コンパクトに保つポイント②


最後は、DF面でのポイント。

通常、“コンパクト”というと、DFのラインコントロールを指すように考える人が多いだろう。

しかしながら、コンパクトさを保つ意味でより重要なのは、前線の選手の戻りである。

DFラインというのはトレーニングで鍛錬されている為、ラインの上げ下げを機能的にこなすことは可能である。またDF選手の性格は真面目な働き者タイプが多い。よって、サボることなくきっちりラインを調整する。当然、サボるようなことになればすぐに失点するポジションである為、そういう性格的なステレオタイプは想像に難くないだろう。

ただ、問題は、FW。攻め込まれた時にいかにポジションを下げ、こぼれ球を拾えるかというのもFWの能力の1つである。前線で張ってボールをもらおうと待っていても、攻め込まれている状況ではなかなかボールが入らない。

間延びした状態でロングボールを放り込まれても孤立してボールを奪われるのがおちだろう。

第37節 バレンシア×ATマドリッド コンパクトに保つポイント③


この図のように、例えば、ロングボールを放り込まれ、DFラインを下げざるを得ない状況になった場合は、FWも下がる必要がある。勿論、下がりすぎる必要はないが、コンパクトさを保つ必要はある。なぜか?

・こぼれ球を拾うため

そして、もう1つのファクターがあるがこれがFWのみそ。

FWがポジションを適度に下げるということはどういうことか?

・下がる=前線によりスペースが生まれる

例えば、ペナルティエリア付近でスルーパスを受けるのと、ハーフライン付近でスルーパスを受けるのとどちらが容易いか?

当然、スペースがあるハーフライン付近であろう。自分より前にスペースがふんだんにある状況だからだ。

そう、自分が下がることによってFWとして自分の前にスペースを創りだすことが出来るのである。

だからこそ、適度に下がることもFWとしては必要であり、チームとしてのコンパクトさを追求する上では欠かせない要素なのだ。


■現代サッカーの醍醐味は、コンパクトな試合

バレンシアがコンパクトさに欠ける点を指摘したが、これは相手のATマドリッドも同様。よって、試合内容としては非常につまらないものとなってしまう。

現代サッカーにおける醍醐味は両者ともにコンパクトな状態でガチンコ勝負になる試合である。少ないスペース・時間の中でもチームや個人の能力によってスペース・時間を創りだし、チャンスを生み出す。その一瞬、一瞬の勝負にサッカーの醍醐味が詰まるのである。

一昔前はそのコンパクトさに個人が完全に消されてしまい、イタリアのチームのようにフィジカルに優るチームが優位に試合を進めることが出来たが、時代が流れるにつれ、その中にも個人の能力やチームとしての技術、戦術的な要素でその組織を打開出来るだけのテクニカルファクターが生まれ始めている。

その典型が今、スペインで1強時代を醸し出している、FCバルセロナ。彼らのサッカーは非常にコンパクトでありながら、非常にテクニカルであり、戦術的にチームとしてもまとまっている。

その背景にはチーム全体で労を惜しまない運動量とボール1つの動きに対して調整出来る集中力と体力がある。

時間は戻らない。サッカーも進歩している。

ロナウジーニョやエトーのようにスーパーでありながら守備にも貢献し、個人の能力を少ないスペース・時間で瞬時に発揮出来る今の時代に相応しい選手が出てきている。

今のバレンシアに足りない部分は、そういった選手ではなく、そういう選手を育てる地盤になりうる、チームとしてのベースであろう。

ドブレテ(2冠)達成時のベニテスのチームはまさに、

「コンパクトだった」。


by 小澤一郎(Ichiro Ozawa)@バレンシアサッカーライフ



試合関連写真 

ATマドリッド アップシーン1
ATマドリッド 試合前のアップシーン1

ATマドリッド アップシーン2
ATマドリッド 試合前のアップシーン2

メスタージャの名物おばさん
メスタージャの名物おばさん

バレンシア×ATマドリッド 試合前
試合前に選手を待つ子供達

バレンシアCF スペイン代表 ビセンテがベンチ入り
バレンシアCF スペイン代表 ビセンテがベンチ入りし復帰

バレンシアCF リーガ最年長選手 アメデオ・カルボーニ最後のメスタージャ1
アメデオ・カルボーニ最後のメスタージャ1

バレンシアCF リーガ最年長選手 アメデオ・カルボーニ最後のメスタージャ2
アメデオ・カルボーニ最後のメスタージャ2

バレンシアCF リーガ最年長選手 アメデオ・カルボーニ最後のメスタージャ3
アメデオ・カルボーニ最後のメスタージャ3

PHOTO by 小澤一郎(Ichiro Ozawa)@バレンシアサッカーライフ



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Comments

FWのポジション取り

少し目から鱗が落ちましたね。
僕は「カウンターの芽」を残しておくという意味で
FWは前線に我慢して張っているべきなのかと思ってましたから。
でも一人ポツンと立っていても意味がありませんものね(笑)
勿論、自陣深くまで下がってしまっては意味がないのでしょうが
その辺のポジショニングも大事なのですね。

そういえば、城彰二のスペイン初ゴールも、
ハーフライン手前で受けてのドリブルからのゴールだったのを
思い出しましたよ。

  • [2006/05/09 18:00]
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  • カルボーニ年金
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