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もう1人の日本人の戦い 




映像はマジョルカ、ソン・モイススタジアムの紹介である。

オフィシャルショップ、カフェテリア(※字幕にズレが発生し多少おかしい部分あり)、スタジアム内の雰囲気を簡単ではあるが感じてもらえることと思う。




今日は、どうしても紹介したい人、記事がある。

その方は、島田徹さん。

サッカーライターであり、現在はマジョルカにて日本の大手スポーツ新聞社の通信員として働いている。所謂、マジョルカ、大久保嘉人の番記者である。

私がサッカーライターの道を歩み始めたのもこの人の存在があったからだ。未だに色々な面で頼ることもある、本当によき師匠である。

その島田さんがマジョルカでの最後の仕事として書き下ろしたのが、下記に紹介する「日経BP」でのドイツW杯関連の特集、

「第5回 大久保嘉人 4年後にかける思い」 
nikkeib.jp-ドイツW杯カウントダウン-第5回

である。“最後”と言ったのは、まだ決定ではないが、基本的にマジョルカ大久保の来季残留はない。よって、彼のマジョルカ残留(仕事)も基本的にはない。(であろう)

今日は、そんな彼の、大久保嘉人ではない、もう1人の日本人のマジョルカでの戦いにスポットを当ててみたい。


大久保がマジョルカに在籍した1年半という期間、彼はずっと大久保を見続け、チームを見続けてきた。

今月の初め、約1年ぶりの再会を果たした彼の姿はとてもたくましかった。

「随分、日焼けしてますね?地黒の僕が勝てないくらいじゃないですか…(笑)」

と声をかけたのが久々の対面での私だった。

「ああ、毎日練習行ってるからね」

そう、彼は来る日も来る日も大久保とマジョルカを追いかける日々を過ごしてきた。

“日本人選手の海外移籍”

一見華やかで、話題に上るニュースである。これまで多くの日本人選手が海を渡り、日本という国を背負いながら異国の地でサッカー選手、人間としての存在を賭け戦ってきた。

マジョルカで1年半戦ってきた大久保嘉人もその1人。

そして、そういった日本人選手に必ずついてまわるのが、日本人記者、マスコミである。

そういった記者、マスコミの仕事は基本的にその選手の活躍次第である。大久保が活躍すれば紙面、記事の分量が増え、仕事が求められる。活躍しなければ話題にのぼらず、仕事としての要求は少なくなる。

だから、彼らは見守っている選手やチームの活躍を望む。

バレンシアCFのキケ・フローレス監督は、リーガ最終戦のオサスナ戦を前に、このようなことを言った。

「バレンシアCFは来季、CLという大きな大会に戻ることが出来ます。これは、我々チームだけではなく、あなたがたマスコミにとっても喜ばしいことだと思います。来季は共に、欧州の舞台で戦いましょう」

そう、戦うのはチームやファンだけではなく、本来中立な立場であるマスコミも同じ。内心は、彼らが日頃足繁く通うクラブや街を応援しているのが事実である。

ただ、島田さんのようにいち選手に張り付いて仕事をしている場合、状況は少し異なる。前にも述べたように、その選手が活躍しなければ、ましてや試合に出なければネタ(仕事)にならない。

大久保嘉人のマジョルカデビューは華やかだった。

ホーム、デポルティボ戦で1ゴール、1アシスト。

順風満帆の好スタートであった。

ただ、その後の活躍、チームの低迷はご存知の通り。スポーツ紙で「大久保」の文字をみる機会が徐々に減っていったのが厳然たる事実である。

それは大久保にとっての苦悩のみならず、そういった記者、マスコミの苦悩でもある。特に、日本のマスコミの場合。

大久保が海外にいるから、報道する

大久保が活躍するから、マジョルカというチームを取り上げる

全ての根底は“大久保”にある。当然と言えば当然であろう。読者が知りたいことは、大久保の活躍であり、マジョルカの活躍ではない。

これはサッカーに限らないことであろう。大リーグでもイチローのその日のヒット数は報道されるが、マリナーズの結果、順位が報道されることはどのくらいあるのだろうか?

マジョルカで再会した島田徹という人間から一度だけ、愚痴を聞いたことがある。

「オレは、大久保も勿論好きで活躍してもらいたいけど、本当にマジョルカというチームも好きなんだよね。ただ、仕事として求められているのは“大久保”だけなんだ…」

いつもは明るいその顔が一瞬曇ったのがそのフレーズを発する時であった。

彼は、大久保がベンチ入りしなくともアウェーゲームに行った。仕事としての依頼ではない。自腹を切って試合を観に行っていた。

マジョルカというチームをみる為に。

マジョルカを取り巻くメディアの中で恐らく彼を知らない人間はいない。顔を合わせば、誰もが声をかけ挨拶してくる。試合の日にはファンまでが、「オラ!今日の試合良かったね?」などと声をかけ、勝った試合後にハイタッチをしてくる。驚くべきことに、ファンの中でも認知度が高い。

その証拠が、日本人メディアの人間にも関わらず、サッカーライターにも関わらず、地元の新聞「ディアリオ・デ・マジョルカ」に練習風景やチームの写真を提供していることであろう。そう、地元紙と契約を結んでカメラマンとして写真提供をしているのである。

「全然、お金になんないけどね…」

とは言う姿がどこか美しかった。そして、誇らしかった。

それは、島田徹という人間がマジョルカで残した結果でもあると思う。

私はサッカー指導者も目指している人間である。「日本がサッカー強国になるために必要なことは?」と聞かれれば、

「日本の指導者が海外ビッグクラブで指揮すること」

と答える。選手を供給するだけではなく、指導者として引き抜かれる人間が出てきてこそ本当の意味で強国の仲間入りだと考えている。

日本のサッカーメディアにおいても多くの外国人記者が記事を書いている。中には日本で活動している記者もいる。

日本のサッカー文化が世界に肩を並べる為には、日本の記者、マスコミが海外メディアにおいて活躍することも必要だと考えている。

それを彼はやってのけた。

確かに、マジョルカという小さな島、クラブだ。ただ、スペインリーグ1部に在籍する歴史・伝統あるクラブ。そんなクラブにおいて日本人記者が活躍する姿を目の当たりにすることが出来、同じ日本人としてとても誇らしく思えた。

「大久保がいなくなっても、マジョルカに残りたい気持ちもあるんだ…」

私がマジョルカを去る前日、彼はこう話してくれた。

彼は大久保嘉人という選手を追いかけながらも、マジョルカというチームを見続けた。

多くの日本人にとっては、

「ああ、大久保が在籍していたチームね」

で終わるであろうマジョルカを本当に愛したのではないか。

仕事という点から考えて、大久保が去るマジョルカに来季も彼が残る可能性は低いのかもしれない。また、私が発言できる問題ではない。

ただ、大久保同様に、日本人として島田徹はマジョルカに何かしらの足跡を残したはずだ。そして、多くはないが、確実に何人、何十人のマジョルカ人に「トオル シマダ」という存在を焼き付けたはずだ。

彼によって焼き付けられたその“日焼け”は、マジョルカの人々の心の中までしみ込んでいるのかもしれない。

もう1人の日本人の戦い

それは、美しいマジョルカの街、クラブに確実に焼き付いていた。



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Comments

今回のような、普段スポットライトがあたらない人を紹介するとは面白いですね。これからはシーズンオフなので、こういった企画もいいですね。

  • [2006/05/19 00:07]
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「クラブ」を成すもの

どうしてもクラブ内部の人間までを含めて「軸」と考えがちですが
それは違うということかもしれませんね。

唯一絶対の「軸」はクラブそのものであって、
そこに己の存在を確認したいが為に、会長から現場、マスコミ、サポーターまで、
誰もが懸命になっているのでしょう。

そう考えれば、サッカークラブは「こんぺいとう」なのだと思います。
ザラメ(核)部分が「クラブ」で、無数の突起物がそれに関わる全ての人々。
クラブの内の人間であるか、外部者であるかに関わらず。

なぜなら、特にこの世界は一寸先は闇で、誰がいつ外部者になるかもしれません。
だから広い目で見れば、大したことではないのでしょう。

大事なのは小澤さんにしても島田さんにしても、そこで「戦っている」ということ。
僕はそう思いました。

  • [2006/05/18 19:59]
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  • カルボーニ年金
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