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DFトレーニングからみる、キケ監督 




2006/05/10(水) バレンシアCF DFトレーニング

敢えてこの時期にこのトレーニングを紹介するのは訳がある。実は、このトレーニングは「シーズンが終了してはじめて意味を理解できる」と思っていたからだ。少なくとも、最終戦の5/16、オサスナ戦を終えた段階で。




■トレーニング概要

DFトレーニング解説図


映像と図でみてもらえれば、わかる通り、シンプルなDFトレーニングだ。

「DF4人+GK 対 攻撃6人」

【設定】
①敵陣からロングボールを放り込まれる
②まずはセンターバックがFWと競り合う
③DFがクリアしたとしても、ハーフェーライン付近からまた攻撃側のボールでスタート

【DFの組み合わせ】
スタメン組;モレッティ、アジャラ、アルビオル、ミゲル
サブ組;カルボーニ、マルチェナ、D・ナバーロ、クーロ・トーレス

【ポイント】
・ロングボールの競り合いに勝つこと(ボールを弾く)
・DFラインのコントロール(ラインを揃える)
・数的不利でも最終的に跳ね返すこと


■この練習からみえたキケ監督の分析眼

さて、ではこのトレーニングがどういう意味をもっていたか、私なりに推測してみたい。冒頭で述べたように、このトレーニングはシーズンが終わってはじめて噛み砕いて理解することが出来た。

実は、オサスナ戦前のトレーニングのメインは、終始こういった「DFライン(4人)がいかに数的不利でも守れるか」というテーマにメニューが組まれていた。つまりは、

「攻められても、いかに守れるか」

を考えてのトレーニングであり、最終節のオサスナ戦に対するキケ監督の考え方は、「攻められる」「守らなければいけない」「耐えなければいけない」というものであったはずだ。

なぜか?

私が現地に来てバレンシアの試合をみはじめた頃は既にシーズン終盤。ホームのアラベス戦は3-0と快勝したが、マッチレポートに書いたように「決して内容的に良い試合ではなかった」。また、アウェーのマジョルカ戦については、周知の通り、1-2で敗退。オサスナ戦に関しても1-2で内容的には完敗。

全ての原因で、

「走れない」

というコンディションが前提にあった。前線から、中盤からプレッシングをかけることが出来ず、ずるずるとDFラインを下げてしまい、相手にイニシアチブを取られる。そして、圧倒的に攻められた結果として、得点を奪われる。

対する攻撃は、カウンターのみ。マジョルカ戦でビジャが決めた得点もカウンター一発のまぐれ当たり的ゴールであった。

どのチームにおいても、シーズン終盤になれば疲労により、コンディションは低下し、走れないものである。が、しかし、バレンシアの場合は他のどのチームよりも走れなかった。ましてや、今季はCLにもUEFAカップにも出ておらず、国王杯でもそう上まで勝ちあがっていない。「試合数が多いから」という良い訳はできない。控えの選手も豊富にいる。

前置きが長くなったが、結論から言おう。

「キケ・フローレス監督はチームを客観的に分析する能力にたけている」

と私はシーズンを終え、思った。

その一番の理由が、このトレーニングや「DFラインを最後の防波堤にして何とか守りきる」ということにフォーカスしたトレーニング内容であった。

つまり、彼は既にシーズン終盤の段階で、チームが走れない、チーム全体でプレスをかけコンパクトなサッカーができないことを百も承知だったのだ。

だからこそ、敢えてこのようなDFトレーニングにチームの方向性を持っていたのだろう。

コンディションの低下している終盤にフィジカルトレーニングをしても疲労を蓄積させるだけだ。シーズン前の体力強化の時期であれば、トレーニング→適度な休息→トレーニングというターンでフィジカル能力を鍛えることが出来る。

超回復”という言葉をご存知だろうか?

筋力トレーニングの際によく使われる言葉だが、効果的な筋力アップをはかる為には、常に筋トレをしてはいけない。適度な休息を与えることによって、筋肉が以前よりも“超過”“肥大”していく。

この原理と同じで、コンディションが悪く、休みの取れない終盤にいくらフィジカルトレーニングをやったところで疲労を蓄積させるだけである。

よって、キケ監督が持っていたオプションはこの「DFラインで食い止める」方法以外になかった。

バレンシアCFの終盤の試合をみて、

「もっとラインを上げろ」
「コンパクトにやれ」
「中盤でプレスをかけろ」

と思った方は多いだろう。それはキケ監督をはじめとするスタッフも十分承知していたのだ。

だからこそのこのトレーニング。おわかり頂けただろうか?


■来季に向けて

そして、本日よりバレンシアCFはバケーション(オフ)に入った。W杯に出場する代表選手は当然オフではないが、それ以外は長期の休暇だ。来季の為に当然ながら、“休息”する必要がある。

キケ監督は、昨日の記者会見でこのように述べた。

「来季に向けてチームの顔は変わるだろう。より若く、エネルギーに満ち溢れ、全力を出せるチームにもっていく」

恐らく、彼の中では、今季は色々な意味での“妥協”があったはずだ。

ヘタフェの監督として“若手”をうまく使いながら、良い成績を残し、それを置き土産にビッグクラブであるバレンシアCFに来た。

彼自身のスタンスは、「名のある選手、実績のある選手より、チームのために働ける選手」だ。よって、多くの葛藤があっただろう。また、ビッグクラブになれば内野・外野両方からの野次・喧騒もある。そのプレッシャーにも耐えなければいけなかった。

彼自身、最大にして唯一の目標が「CL圏内(=4位以内)」であり、それを見事に果たした。

今季は、自分自身とクラブ側の中間点を探りつつうまくバランスを取りながらチームをマネージメントしていたのだろう。そして、来季からはより自分らしいチーム作り、サッカーにシフトチェンジさせるに違いない。

彼自身が語るように“若さ”“エネルギー”“勤勉さ”をキーワードに選手起用、選手補強を行っていくだろう。

そういった長期的なプランややり方もキケ監督らしいではないか。恐らく、いや、当然ながら我々が考えている以上に彼自身がバレンシアCFをより“上”に持っていくために日々没頭している。

来季に向けて、キケ監督の頭の中が“オフ”になることはないだろう。

ある監督は言った。

「誰に何を言われようと、チームを一番勝たせたいと思うのは、監督。誰よりもそれを考えながら日々生活している」

その言葉には重みがあった。



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Comments

スレッドとは少しズレていますが、この練習、野洲高校にも必要です。これまでの失点のほとんどがこのパターンでした。

インタビュー記事をなぞっただけでは理解できないものなんですね。
"若い"に異常反応して、をいをい年齢制限があるのかよー、と皮肉に見ていました。反省します。
彼の理解者、支持者が増えることを願っています。

チームを作る上で、まず監督としたらDF考えますね。(自分の場合)
攻撃は守備より好不調の波があるし、守備さえ安定してればそれなりに調子を維持できますからね。

ファンからしたら今年のバレンシアについて色々と言いたいことがあったかもしれないですが、想像以上のキケ監督の苦悩&見てる人にしか分からない戦術の工夫があったんですね。

こういったことが分かるのが、このブログの良いところですね。

  • [2006/05/25 03:22]
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第3者としての"目"

ある欠けたものを埋めようとするとき
人はどうしても、「足りないもの」を安易に追い求めがちです。
あるいは「失った逆の方法で」取り戻そうとする、というか。

それが出来るならそれが一番良いのでしょうけど
大事なのはその時点の的確な状況判断、と言うは易しです(笑)
でも何が出来ることで、何が出来ないことか、を
分かって、しかも行動に移せているのは素晴らしいですね。。

分かっていても認めたくない、悪い意味での「精神論」でムチャを選手に求め、
結果、壊してしまったりしたら元も子もありませんものね。

キケは非常にクレバーだなぁ、という印象を持ちました。

  • [2006/05/25 01:12]
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