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スペインvsエジプト戦、感想 

2006/05/03 スペイン vs エジプト

結果:2-0

得点:ラウル(前半14分)、レジェス(後半11分)




■率直な感想

ロシア戦、エジプト戦とW杯直前の大事な2試合をみてスペイン代表のW杯での活躍は、「非常に厳しい」という感想。

ウクライナ、チュニジア、サウジアラビアと比較的組みやすいリーグに入り、「有り得ないくらいラッキーなリーグ」(私の知人談)と言われるリーグでさえ雲行きが怪しいのではないか?というのが私の予想。

少なからず、ここスペインにおいて、本気で「W杯優勝だ」とスペインを応援する人間はいないであろう。ある意味、いてもらいたいが…(苦笑)

さて、この試合の先発メンバーは以下のような並びであった。

スペインvsエジプト戦、スペイン代表先発メンバー


■新システム、4-3-1-2

ラウルとトップ下に使う、「4-3-1-2」という新システムを採用したわけだが、私の評価は悪い。スペインのメディアは、「機能した」(マルカ)などと言っているが、「どこが?」というのが私の本音。あくまで個人的な意見だが、この試合をみた人間で賛同してくれる人も多いであろう。

また、ラウルが219日ぶりに代表において得点を挙げた。どのメディアも、「Por fin(やっと)」という見出しが躍っていたが、まさにその単語がぴったりである。が、しかし、、、

得点シーンは、前半14分、左サイドバックのアントニオ・ロペスが中央へ切り込み、右足のなんでもないシュートを放つ。本当に“なんでもない”普通のシュートをあろうことかエジプトのGKがハンブル…

すかさずこぼれ球を詰めていたラウルは褒められるべきであろうが、誰もあのボールをハンブルするとは思わなかっただろう。エジプトDFは誰も予想していなかった。その証拠にDF全員が足を止めていた(苦笑)

ラウルの活躍はこのシーンのみ。あとはほとんど消えていた。勿論、彼自身のみの問題ではない、システムの問題もあったが、一番懸念しているのは彼のコンディション。あまりに運動量が少なかった。体力的にスタメンを張るコンディションではないのではないか?という疑念が湧いたのがこの試合をみての感想。

あまりに動けない。動かない。この試合の出来では、W杯での活躍は難しいというのが私の見方。久々に得点を挙げて「ラウル復活」というにはまだ早い。


■新システムの課題「中盤サイドのスペース」

では、このシステムの課題を具体的に挙げていく。まずは、以下の図をみてもらいたい。

スペインvsエジプト戦、スペイン代表、新システムの課題1


システム上、確実に中盤サイドのスペースが空く。これはこの配置にした以上仕方がない問題。ただ、このスペースをどう使い、どう埋めるのか、チームとしての共通理解が足りなかったように思う。

スペインvsエジプト戦、スペイン代表、新システムの課題2


攻撃の際は一応、チームコンセプトとして、両サイドバックを使うという意図はみられた。これは今週のバレンシア合宿のトレーニングで繰り返しパターン練習として行っていたこと。

中盤の3人がボールを保持して時間を稼ぐ間にサイドバックがオーバーラップをし、サイドバックを使おうというもの。

両サイドバックの出来自体、右のセルヒオ・ラモス、左のアントニオ・ロペスと悪くなかった。2人共に相当な運動量であった。

ただ、守備に入った時、このスペースをどうケアするのかまだ見えてこない場面が多かった。

サイドバックがポジションを上げてアタックするのか、中盤の選手がサイドに張り出すのか。FWが戻るのは厳しいだろう。選択肢としてはこのどちらかになる。


■新システムの課題「FWの使い方」

また、攻撃に手詰まり感があった。ボールはキープ出来ていた。ポゼッション率はスペインが有利。ボールは保持し、主導権は握っていた。

ただ、いつものことのように、得点チャンスは作れなかった。原因は色々あるが、大きな1つに、FWの使い方がある。その中でも大きな要素が、フェルナンド・トーレスの使い方、使われ方。

スペイン代表、フェルナンド・トーレス


F・トーレスの特徴はその身体能力にある。大柄でありながらも爆発的なスピードを持ち、相手を抜き去る。DFが「(ボールを)奪える」と思った瞬間に、長い足が伸び、猛烈なスピードで縦へ突進する。

よって、彼は決して技術的に優れているわけではない。トラップ、キック、シュートの正確性、どれをとってもそれ程優れていない。むしろ、代表クラスでは劣っている。

その中でも一番苦手としているのが、ポストプレー。足下にボールが入った時にきっちりボールが収まらないのと、きっちりボールをキープすることがあまり上手くない。よって、あまり彼自身ポストプレーを好まない。

ルイス・アラゴネス監督は、「トーレスは典型的な9番タイプのFWだ」と断言するが、私はそうは思わない。少なくとも、1トップに置いて活躍するようなFWではないと考えている。

よって、彼が好きなプレー、動きは以下の図のようなもの。

スペインvsエジプト戦、スペイン代表、新システムの課題3


サイドに流れる動きが好きなのである。そして、スピード、フィジカル勝負で突破をはかることを得意とする。勿論、その能力は一級品。この試合でもエジプトDF陣を振り切りゴール前まで突進するシーンが何度もみられた。

ただ、そこにこのシステムとの矛盾点がある。

新システムでは、

・中盤サイドのスペースが空く
・トーレスはサイドに流れることが好き

であるから、必然的にサイドバックを使って厚みのある攻撃をしかけるよりもトーレス1人頼みの突破に依存する傾向になる。成功すればビッグチャンスにはなるが、いつも成功するとは限らない。

また、成功したとしても、単発のカウンター気味の攻撃に終わることが多い。ビジャがかろうじてゴール前で待っているが、ラウルや他の中盤の選手は追いつかない。よって、攻撃は単発に終わってしまう。

私は、トップ下を置くシステムであれば、以下のようなプレーが理想ではないかと考える。

スペインvsエジプト戦、スペイン代表、FWの使い方


ポストプレーが出来るFWにボールを当て、トップ下(ラウル)に前を向いてボールをもたせる。そこから、もう1人のFWにスルーパスを出すような攻撃。

また、一度、センター付近でFWやトップ下がボールを受けることにより、相手DF陣が中央に絞ることになる。そうすれば、サイドにボールを散らした時に有効な攻撃の手段となることが多い。

このエジプト戦においては、こういった前線での連携は皆無。ラウルが消えていたのもこういった原因があろう。

それらを踏まえて、私は、「機能しなかった」と結論付けたい。


■機能した後半のシステム

一方、後半は開始早々から、以下の交代があった。

チャビ・アロンソ(←アルベルダ)
チャビ(←セナ)
レジェス(←ビジャ)

中でも一番目立った活躍をしたのが素晴らしい直接FKを決めたレジェス。フォーメーションは以下のような変則的なものであった。

スペインvsエジプト戦、スペイン代表後半メンバー


左にレジェスが張り出す形で、1トップ気味。レジェスのポジションはFWではなく中盤と呼ぶべき位置にいた。それが功を奏した。

なぜか?

・前半使えなかった中盤サイドのスペースを使えた

のがまず一番大きなポイント。レジェスのポジションでボールをキープ出来る意味は大きい。また、当然ながら、センターとサイドではサイドの方が時間もスペースもあり、ボールを保持しやすい。

そして、もう1つ大きな要素が、

・レジェスはドリブル突破ができる

ということ。前半のスペインはボールは回せるものの、ドリブル突破であったり、相手の背後をつくパスはほぼなかった。エジプトDFとしては非常に守りやすいボール回しであり、リズムであった。自分達の目の前でボールを回しているだけで何ら怖さがない。

一方、後半はレジェスがガンガンドリブルで突っかけた。よって、DFラインを崩されることも多く、かろうじてCKに逃げる場面も多かった。

サッカーでは綺麗に、無難にパスを回しているだけでは崩せない、得点出来ない。

バルセロナのサッカーを振り返ってもらいたい。勿論、中盤でチャビ、デコ、エジミウソンといった選手がボールを回し、ポゼッション出来ているが、一方で最終的な突破となった時にロナウジーニョ、エトー、ジュリーといった選手がドリブルやスルーパスで突破をしかける。

その微妙な組み合わせ、バランスがあるからこそ、相手を崩し、得点が奪えるのである。

スペインの前半は残念ながらその組み合わせがなかった。後半、レジェスという選手の1人の能力のみでなんとかバランスを保ったというのが私の印象である。


また、後半途中でラウルが退き、代わりにルイス・ガルシアが出てきたが、個人的な意見としては、トップ下で使うならルイス・ガルシアを選ぶ。彼は運動量が豊富で、相手の嫌な所へ飛び出すことも出来る。運動量、飛び出しという2点で完全にラウルより質の高いプレーヤーに映った。

また、後半から出たチャビはやはりスペインには欠かせない存在。リズムを作る、ボールを保持するという意味において彼がいるのといないのでは全くチームが変わってしまう。この試合での出来を見る限り、コンディションも悪くないであろうから、W杯ではスタメンを張るとみた。

いずれにせよ、一応、得点を挙げ、結果は出した。内容はそれ程褒められるべきではないものの。

W杯でこの内容であれば、間違いなく「厳しい」。また、この新システム自体も煮詰めなければ厳しいが、時間がない。

親善試合は残り1試合。7日に日本のライバル、クロアチアと対戦する。

未だ、システム、スタメンを決めかねているルイス・アラゴネス監督であるが、本当にスペインにあったシステムは何か。

それは、自分が抱えている選手の特徴を把握すれば必然的に見えてくるのではないだろうか。

“スペインにはレジェスのような特徴的なサイドプレーヤーがいる”

エジプト戦で大きなヒントは与えてくれた気がする。

スペイン代表、苦悩するルイス・アラゴネス監督




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Comments

サイドを生かすも潰すも本人達次第

何と言ってもサイドの使い方でしょうね。
F・トーレスって、かつてJリーグで活躍した
メディナ・ベージョに少し似ている感じがします。

あの時のマリノスは、メディナ・ベージョと山田隆裕の
右サイドの役割分担がハッキリ出来ていませんでした。

今回のイチローさんの記事はどこかそれを思わせます。
F・トーレスが右ラテラルと上手く絡めれば良いですが
それを構築するには少し時間がなさ過ぎますか…。

  • [2006/06/05 16:38]
  • URL |
  • カルボーニ年金
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何で今更新しいシステムにしなくてはいけなかったんでしょうね。
アラゴネスが何を考えているのだかよくわかりません。
私はスペイン戦2試合(チュニジア戦、サウジ戦)をドイツで観戦予定です。
まさかグループリーグ敗退の瞬間に立ち会うなんてことには、、、ならないですよね???

自分も試合を観ましたが、考えてる事は同じですね。
アラゴネスは監督として、早くチームの方向性をはっきり決めるべきですね。
監督が迷ってると選手にまで影響するし、このままでは優勝は無いと思います。

  • [2006/06/04 21:39]
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